統計検定2級は、ビジネスに役立つのか?

統計検定2級は、ビジネスに役立つのか? キャリアアップ

こんにちは、リサ夫です。

私は、マーケティングリサーチに関わる仕事を、新卒からずっとおこなってきました。

そんな中でずっと抱えていたのが、「統計の知識が薄い」というコンプレックスです。基本的なところからちゃんと学び直したいと思い、統計検定2級を受験しました。

前の記事でも書きましたが、大学時代に統計学の授業をとったものの、途中でついていけなくなり、単位すら取れずじまいでした。そんな自分が、用語だけをざっくり知っている状態からスタートし、中学、一部高校数学の記憶を引っ張り出しながら、なんとか合格にこぎつけました。

ただ、いざ合格してみると、「統計検定2級って、そんな大した資格じゃなくない?」という声を耳にすることもありました。じゃあ本当に意味がないのか、どういう場面・界隈でなら使えるのか。今日はその辺りを、実務者目線で少し語ってみたいと思います。

そもそも統計検定2級は、どのくらいのレベルなのか

「2級」と聞くと、なんとなく中間くらいの難易度をイメージする人が多いと思います。実際どのくらいの位置づけなのか、日本統計学会が定める各級の目安を簡単な表にまとめてみました。

級・種別 想定される数学レベル 求められる力の目安
4級 中学校までの内容 統計表やグラフを読み取る基礎的なリテラシー
3級 高校数学(数I・A・II・B・Cなど) データの特徴を捉え、身近な問題に活かす力
2級 大学基礎課程(1・2年次)レベル 問題の発見からデータ収集・仮説構築・検証までできる基本的な統計力
準1級 大学専門課程(3・4年次)レベル 実社会の課題に適した統計手法を選び、活用する力
1級 大学院レベル 統計理論の数理的な理解と、高度な課題への応用力(論述式)

(出典:日本統計学会公式サイト「検定種別の目安」をもとに作成)

こう並べてみると、2級は「基礎の土台がひと通り固まったライン」という立ち位置であることがわかります。3級までの中学・高校数学レベルから一段上がり、大学1〜2年生が習う統計学の範囲まで踏み込むのが2級、というイメージです。だからこそ、「本格的にやっていくには物足りない」という声も、「大学の統計の授業についていけなかった自分にはちょうどよかった」という自分のような感覚も、どちらも間違いではないのだと思います。

ビジネスに直接使えるのか?

結論から言うと、直接使える場面は正直少ないです。

検定の計算そのものをエクセルや統計ソフトが代わりにやってくれる場面が大半で、日々の業務の中で一から手計算することはまずありません。

また、データサイエンティストとしてバリバリやっていきたい人には、正直まだ物足りない内容だと思います。大学の研究レベルで使うには、もう一段階先の知識が必要になってくるでしょう。

一方で、「普段からデータ分析された資料に触れる人」、そして「それをもとに上司や客先を説得したり、意見を述べたりする立場の人」にとっては、統計検定2級は間違いなく持っておくべき知識だと思います。実装力やモデリング力を求める職種には物足りなくても、「データを正しく読んで、正しく人に伝える」という仕事をしている人にとっては、これほどコストパフォーマンスの良い資格はそうそうないと思います。

「なんとなく」から「説明できる」への変化

自分の場合、検定に受かってから一番変わったのは、報告書に載せる分析結果について、

  • なぜその結果になったのか
  • 数値的に弱い部分はどこなのか

ということが、ある程度説明できるようになったことです。

それまでは、調査結果として出す数値も正直「なんとなく」で決めていました。「過去このくらいのサンプルサイズで結論を出していたから、今回もこれでいこう」といった、ざっくりとした感覚での判断です。

いつ報告相手から突っ込まれるかヒヤヒヤしながら仕事をしていましたし、突っ込まれたときの回避法だけを先輩から学んで、その場その場をしのいでいました。

今は、「統計学的には根拠は甘めだけど、それを承知の上で出す」という判断ができるようになりましたし、明らかにまずい報告の仕方は自然と避けられるようになりました。

他の人が出してくる報告資料に対しても、以前よりずっと鼻が効くようになったのは、地味に大きな変化だと感じています。

具体例で見る「なんとなくの理解」の落とし穴

ここから少しだけ統計用語を使って説明します。難しければ読み飛ばしてもらって大丈夫です。

例えば、ある商品の認知度を調査して、「知っている」と答えた人の割合が18%だったとします。その結果を受けて、「母集団の割合は13%〜23%の間です(いわゆる信頼区間です)」という報告を受けたとしましょう。

ここで質問です。この13%〜23%という範囲の中で、母集団の割合として最もあてはまる確率が高いのは何%だと思いますか?

直感的に「18%かな」と思う人が多いのではないでしょうか。

答えは、「どれでもない」です。

この理由をきちんと説明しようとすると、統計検定2級以上の範囲をしっかり学ばないと、正直よくわからないですし、説明もできません。教科書によっては「そういうものだから」と、やや自明のように扱われていて、実はきちんと説明してくれている教科書自体が少なかったりします。

こうした細かい問いに直接ぶつからなくても、報告相手から「これって真ん中の18%が一番確率高いんですよね?」と言われる(あるいは、そう思われている)ことは実務の中でよくあります。そこで臆せずきちんと説明できることが、報告する側としての誠実さであり、スマートさだと思うのです。

補足:ちょっとややこしいのですが、、「18%が一番それらしい」という感覚自体は、実は間違っていないそうです。18%は、「今回のサンプルの結果が得られる確率を最大にする値」(専門用語で「最尤推定値」と言います)だからとのこと。ただし、これは先ほどの「どれでもない」という答えを覆すものではありません。「データに一番よく当てはまる値であること」と、「母集団の割合がその値である確率が一番高いこと」は、似ているようで別の話だからです。

「意味ない」派の生の声もあわせて見てみる

冒頭で触れた「そんな大した資格じゃなくない?」という声、実際にネット上でも同じような意見はよく見かけます。著作権の関係でそのまま引用はできませんが、趣旨を整理して紹介します。

  • Yahoo!知恵袋では、統計検定は履歴書の資格欄が埋まる程度の効果しか見込めず、面接官がその資格だけで採用を決めるような場面は考えにくいという意見が、ベストアンサーとして支持を集めていました。
  • 同じくYahoo!知恵袋には、「統計検定は何の役に立つのか、持っていても趣味で終わるのではないか」という率直な疑問を投げかける投稿もあります。
  • 資格系メディアの記事でも、2級で扱う記述統計・確率分布・仮説検定などは業務の初期フェーズ(データの確認や特徴量の理解)では使えるものの、モデル作成や実装、現場への説明などの場面では別のスキルが追加で必要になるという、やや辛口の指摘がされています。

正直、どれも「わかる」と思う指摘です。資格欄が1行増える以上の劇的な効果は、自分自身、感じたことはありません。データサイエンティストとして実装や高度なモデリングをしたい人にとっては、2級の範囲だけでは明らかに力不足でしょう。

ただ、これらの声に共通しているのは、「専門職としての実装力・アピール力」という物差しで評価しているという点だと思います。私が本文で書いてきたのは、そこではなく、「データに触れながら報告・説明する立場の人にとっての、地に足のついた実務理解」という、また別の物差しの話です。同じ資格でも、どの物差しで見るかによって評価が大きく変わる。統計検定2級は、まさにそれがはっきり分かれる資格だと感じています。

まとめ:地味だけど、ビジネスの場では確実に効いてくる

世間では「そんな大した資格じゃない」と言われがちで、実際に受けた人からすれば「いや、結構難しいんだけどな」と思うところで、評価が分かれやすい資格だと思います。

でも自分の実感としては、「ビジネスの場では地味だけど、非常に有用」というのが正直な印象です。

派手に統計解析を回すような場面はなくても、データに基づいた報告を「なんとなく」でなく「根拠を持って」できるようになる。それだけでも、日々の仕事の質やヒヤヒヤ度はかなり変わってきます。

統計に苦手意識がありつつも、仕事でデータ分析結果に触れる機会が多い人には、統計検定2級、個人的にはおすすめです。

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